【4月29日 AFP】米国と欧州連合(EU)は28日、ウクライナで高まる緊張緩和への努力を怠っているとして、対露追加制裁を発動した。ウクライナでは、ロシア寄りの市長が銃撃されて重傷を負った他、親露派の武装勢力が新たな町を掌握したり、集会を攻撃したりして、情勢は悪化の一途をたどっている。

 東西関係が冷戦(Cold War)終結後最悪の状態に陥り、欧米諸国による対露圧力が強化される中、米政府はロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に近い当局者7人と企業17社に対する制裁を発動した。

 米国は、ロシアがウクライナで「違法な介入と挑発的な行動」を行っていると非難し、「さらに大きな代償を支払わせる」用意があると発表していた。追加制裁対象の中には、世界最大規模の上場石油会社であるロシア国営のロスネフチ(Rosneft)の会長で、プーチン大統領に近いイーゴリ・セチン(Igor Sechin)氏も含まれている。

 さらに、ロシア向けに輸出されるハイテク製品のうち、軍事利用される恐れのあるものについては輸出認可要件を強化したという。

 これに対しロシアはほぼ即座に反発し、米国に「痛みを伴う」対応策を講じる構えを見せた。セルゲイ・リャブコフ(Sergei Ryabkov)外務次官は露インタファクス(Interfax)通信に対し、今回の追加制裁は米国が「現実から完全に乖離(かいり)」してしまったことを示しているとして、「嫌悪感を覚える」と語った。

 一方欧州連合も、独自の制裁対象者リストに15 を追加すると発表。この米欧による追加制裁は、今月17日にスイス・ジュネーブ(Geneva)でウクライナ危機をめぐる緊張緩和を目指してウクライナとロシアに米欧を加えた4者協議での合意をロシアが履行していないとみられることに対する報復と位置付けられている。(c)AFP/Max DELANY with Stephen COLLINSON in Manila