【3月4日 AFP】仏バイオメディカル企業、カルマ(Carmat)の臨床試験で体内埋め込み型人工心臓を移植した76歳の男性患者が手術から75日目の2日、死亡した。パリ(Paris)のジョルジュ・ポンピドー欧州病院(Georges Pompidou European Hospital)が3日、明らかにした。

 同病院は、男性患者の死因は、これまでに記録された大量の医学的・技術的データを詳しく分析するまでは分からないとしている。

 すでに人工心臓は、慢性心疾患の患者が一時的に使用するものとして実用化されているが、カルマの人工心臓はドナーから移植臓器提供を受けるまで長期の使用を目的としている。これにより患者は自宅での生活が可能となり、場合によっては復職も期待できる。

 仏政府は昨年9月にこの人工心臓の臨床試験の実施を承認し、男性患者は昨年12月18日に移植手術を受けていた。手術を担当した医師らは男性患者を、「信頼と勇気と強い意志を持ち、危険性を良く理解したうえで移植手術に臨み、疾患への挑戦を続ける医療に記憶に残る貢献をした」とたたえた。(c)AFP