■重圧を乗り越えたプルシェンコ、ロシアの首位発進に貢献

  映画『ムーランルージュ(Moulin Rouge)』の『エル・タンゴ・ド・ロクサーヌ(El Tango de Roxanne)』に乗せて、プルシェンコは自身の限界に挑戦する演技構成で序盤に4回転・3回転トーループのコンビネーションを決めると、トリプルアクセルと3回転ルッツを続けて成功させた。

 ここ数年間で腰椎と膝の手術を受けているプルシェンコは、「12回の手術を受けた体で4度目の五輪に臨めるのは最高だ」と喜びを語っている。

 2006年のトリノ冬季五輪で金メダルに輝いたプルシェンコは、リンクサイドでチームメートに混じり、ペアのボロソジャー/トランコフ組に声援を送った。

 期待を裏切らない滑りで観衆をスタンディングオベーションに包んだボロソジャー/トランコフ組は、8日の女子シングルSPとアイスダンス・ショートダンス(SD)を前にロシアを首位に立たせた。

 過去に銀メダルを2回獲得しながらも、ロシア代表入りの際に物議をかもしたプルシェンコは、「特に五輪で復帰を果たすのは非常に難しい」と述べ、自身の重圧を認めている。

 1万2000人を収容するスタジアムは四分の三が観衆で埋まり、熱狂的な「ゼーニャ(Zhenya)」(プルシェンコのあだ名)コールとロシアコールに包まれていた。

 プルシェンコはこのときの強烈なプレッシャーを振り返り、「地元で戦うことは大変だが、それが有利に働くときもある。氷の上に立ったとき、見渡す限りみんな叫んでいた。少し驚いて目まいがした」と語った。