【1月30日 AFP】1919年5月3日に米ニューヨーク(New York)で生まれ、同じ街で今月27日に94歳で死去した米フォーク音楽の伝説、ピート・シーガー(Pete Seeger)──彼の存在は、あらゆる音楽ジャンルのプロテスト(抗議)ソングによって生き続けている。

「花はどこへ行った(Where Have All the Flowers Gone?)」をはじめとする数々の名作を作曲し、黒人による公民権運動を象徴する歌「ウィ・シャル・オーバーカム(We Shall Overcome、勝利を我らに)」を世に広めたシーガーは、詩人のカール・サンドバーグ(Carl Sandburg)に「アメリカの音叉(おんさ)」と言わしめた。

 多くの人はシーガーといえば、1960年代を思い浮かべるだろう。米国の若者たちがベトナム戦争に反対し、すべての人種の公民権を求めてデモに繰り出した大きな社会的、政治的変革の時代だった。

 だが人々の関心が様変わりした今も、ポップやロック、ヒップホップ、エレクトロ、そしてカントリーに至るまで、作曲家や歌手たちは、シーガーの絶頂期と同じようにメッセージを発信し続けている。

「プロテスト音楽が消えたというのは、根拠のない話です」。米ウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin in Madison)で人種・政治と大衆文化の関係について教えるアレクザンダー・シャシュコ(Alexander Shashko)氏はAFPに語った。「ビヨンセ(Beyonce)からブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)、ロード(Lorde)に至るまで、世界の大スターたちにとって、社会の変化は音楽の大きな一部なのです」