【1月28日 AFP】米政府は27日、米情報機関による顧客情報の提供要請についての概要の公表を許可することで、大手IT企業5社と合意したと発表した。

 フェイスブック(Facebook)、グーグル(Google)、リンクトイン(LinkedIn)、マイクロソフト(Microsoft)、ヤフー(Yahoo)の米IT大手5社は、米当局によるインターネットや電話の通信を対象とした大規模な情報収集活動が報じられたことにより、事業に悪影響が出ているとして、より詳細な関連データの公開を許可するよう、政府を相手取り訴えを起こしていた。

 エリック・ホルダー(Eric Holder)司法長官とジェームズ・クラッパー(James Clapper)国家情報長官は27日の共同声明で、「通信事業者に対してなされた国家安全保障上の命令や要請の数に関するより詳細な開示を認める」と述べた。

 また米司法省も、5社に宛てた書簡の中で、国家情報機関が情報提供を求めた顧客の大まかな総数の公開を認めると表明。これを受け、5社は政府の和解案に満足しているとの共同声明を発表した。

 秘密裁判所である外国情報活動監視裁判所(Foreign Intelligence Surveillance CourtFISC)で結ばれたこの合意の下では、5社は一定の範囲内で国からの要請データに関する数字を公開できる。

 可能となるのは、個人情報の提供を求める「国家安全保障書簡(National Security LettersNSL)」や裁判所命令の件数の1000件単位での公開。あるいは、国家安全保障に基づく全ての情報提供要請件数の250件単位での公開を選ぶこともできる。

 これらのデータは6か月ごとの公開となるため、2014年下半期のデータが公開されるのは2015年半ばになる。

 以前は個人情報の提供命令があった事実さえも機密扱いとされていたため、企業側の激しい反発を招いていた。

 企業側は、情報提供の対象となった顧客数に加えて、より広範囲なネット情報収集のための選択基準の数も公開できるが、選択基準そのものの公開は許されていない。

 市民団体は今回の合意事項を歓迎しながらも、さらなる透明性が必要だと強調している。(c)AFP