【1月26日 AFP】エジプトのホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)元大統領を退陣に追い込んだ2011年の民主化運動「アラブの春」のデモ開始から3年となった25日、エジプト各地で衝突が発生し、少なくとも29人が死亡した。

 衝突は昨年7月に軍によって解任されたムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)前大統領派のイスラム系組織の支持者と、軍主導の暫定政府を支持する人々および警官隊との間で発生した。

 保健省報道官がAFPに明らかにしたところによると、29人のうち26人は首都カイロ(Cairo)とその近郊で死亡した。また合わせて168人が負傷し、警察によるとデモ参加者とみられる725人が身柄を拘束された。反ムバラク運動を先導し、モルシ元大統領にも敵対的だった反体制グループ「4月6日運動」によると、カイロで死亡したうちの1人は同グループのメンバーだった。

 軍主導の暫定政府の支持者とモルシ前大統領派のイスラム系組織の支持者の双方は25日、各地で集会を開いた。

 警備のため入り口付近に戦車が並んだカイロのタハリール広場(Tahrir Square)には、エジプト国旗や軍出身のアブデルファタフ・サイード・シシ(Abdel Fattah Said al-Sisi)軍最高評議会議長兼国防相のポスターを持った暫定政府の支持者ら数千人が集まり、シシ議長を支持する内容のシュプレヒコールを叫んだ。シシ議長は、爆弾攻撃などが相次いでいるエジプトの秩序を回復させることができる有力者だという見方が広がっている。

 保健省によると、各地の集会の始まる数時間前にカイロ北部の警察訓練施設の前で小型の爆弾が爆発し、1人が負傷した。そのほかスエズ(Suez)の警察関連施設付近でも自動車爆弾が爆発し、16人が負傷した。(c)AFP/Samer al-Atrush, Jay Deshmukh