【1月3日 AFP】英携帯電話サービス大手ボーダフォン(Vodafone)のエジプト法人は2日、エジプトで放映中の操り人形(パペット)を起用した同社テレビコマーシャル(CM)にテロ攻撃を呼び掛ける暗号メッセージが潜ませてあるとの苦情申し立てがあり、検察当局の事情聴取を受けたと発表した。

 このCMは同地で人気のパペット「アブラ・ファヒータ(Abla Fahita、ファヒータおばさん)」が登場するシリーズ。ボーダフォン・エジプトによると1日、同社幹部に対しエジプト検察当局から事情聴取の召喚状が届き、マーケティング部長が弁護士を伴って出頭したという。

 苦情を申し立てたのは、アハメド・スパイダー(Ahmed Spider)と名乗る政治活動家だ。エジプトのキリスト教一派コプト教ではクリスマスを1月7日に祝うが、スパイダー氏はボーダフォンのCMについて、軍に排除されたムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)前大統領の支持者の協力を得た無政府主義者らがクリスマスに爆破テロを計画しているとの予告だと主張している。

 スパイダー氏は民間テレビ局・タヒール(Tahrir)の番組で、「ファヒータおばさん」のCMに登場するクリスマスの飾り付けがされたサボテンの4つの枝は、モルシ前大統領の支持者らが連帯を示す際に使う4本指を立てるジェスチャーを象徴していると主張。枝から下がる飾り玉は「爆弾」を、またCM内の会話に登場する「七面鳥のロースト」は「車爆弾」を意味しているとの持論を展開した。

 さらにスパイダー氏は別の民間テレビ局CBCの番組でも、このCMについて「英国の情報機関」が全ての黒幕だと非難。「ファヒータおばさん」を逮捕すべきだと何度も繰り返し主張し、パペットを指さしながら「お前を牢屋にぶち込んでやる!さもなきゃ、俺がこの国を出ていく」とたんかを切った。

 スパイダー氏は2011年の民衆蜂起で失脚したホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)元大統領の熱烈な支持者。

 ボーダフォン・エジプトは、「ファヒータおばさん」のCMは純粋な広告ツールで、隠されたメッセージや意味などは何もないと説明。検察の事情聴取は取り調べではなく、情報収集が目的のものだったと発表している。(c)AFP