【12月10日 AFP】英テレビ・オーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント(Britain's Got Talent)」のアラブ版、「アラブス・ゴット・タレント(Arabs Got Talent)」で、アラビア語を話すこともできない米国人女性が優勝に迫る歌声で中東中の視聴者を魅了した。

 米マサチューセッツ(Massachusetts)州ボストン(Boston)出身で小柄な金髪女性のジェニファー・グラウト(Jennifer Grout)さん(23)は、古典的なアラブの歌を披露。優勝は中東における専制支配を表現したシリアの舞踏団Simaが手にしたが、自分以外の出場者は全員アラブ出身者という中で、グラウトさんはトップ3に入る接戦を演じた。

 音楽一家に生まれ育ったグラウトさんは、レバノン出身のアラブの歌姫ファイルーズ(Fairouz)についての記事をインターネットで読み、アラブ音楽に出会った。ファイルーズの歌声に心を奪われ、エジプトでは没後30年の今もアラブ世界で最も洗練された歌手とされているウム・クルスーム(Umm Kalthoum)の歌などにも触れ、難しいが人気の高いアラブの歌を独学で学んだ。

 シーズン中には、ウードをかき鳴らしながらクルスームの曲を歌うパフォーマンスも披露し、観客を虜にした。

 トップ3には、グラウトさんと優勝したSimaの他、独創的技巧を使いアラブおよび世界の有名人の肖像画を描いたパレスチナ(Palestinian)人芸術家Mohammad al-Diriさんが入った。(c)AFP