【11月29日 AFP】国際原子力機関(International Atomic Energy AgencyIAEA)の天野之弥(Yukiya Amano)事務局長は28日、イランがアラク(Arak)の重水炉への12月8日の立ち入りを認めると伝えてきたため、同日に査察を実施する意向であると発表した。同施設への立ち入りが認められるのは、2011年8月以降初めて。

 IAEAとイランは11日、同国の核開発問題をめぐる懸案事項の解決に向けた「協力の枠組みに関する合同声明」に調印していたが、アラク重水炉の査察受け入れは、声明調印以降「最初の具体的提案」だとの認識を、天野氏は示している。

 しかし一方で天野氏は、イランが核開発計画の縮小に応じて世界の大国と24日に結んだ合意の内容について、イランが順守するかどうかを確認する準備がIAEAには整っていないことを明かした。天野氏は報道陣に対し、「かなり込み入った作業になるため時間が掛かる。しっかり準備し、きちんと遂行したいと考えており、いつその準備が整うとも明言できない」と伝えた。

 国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国(米英中仏露)にドイツを加えた6か国(P5+1)と結んだ合意では、イランは国連と欧米諸国が経済制裁を一部緩和する見返りに、同国の核開発活動の一部を6か月間凍結するとしている。この一時凍結が実行されれば、イランが原子爆弾を開発することはより難しくなり、同時に同国がP5+1との長期的な合意に向けた協議を行うにあたっての信頼関係構築にもつながる。

 この6か月の凍結期間はまだ始まっていない。開始日は今後、IAEAも含めて行われる技術的な話し合いで決められる予定だが、来年1月か、早ければ今年中にも始まると予測する声も聞かれている。(c)AFP/Simon STURDEE