【11月6日 AFP】米インターネット競売大手イーベイ(eBay)は3日、同社サイト上に、第2次世界大戦中のナチス・ドイツ(Nazi)によるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)に関連した品物約30点が出品されていたとして謝罪し、出品を削除した。

 英日曜紙メール・オン・サンデー(The Mail on Sunday)によると出品には、ナチスがユダヤ人に着用を強制した黄色い星の腕章や、アウシュビッツ(Auschwitz)強制収容所で使われていた縦じま模様の囚人服、同収容所の犠牲者のものとみられる歯ブラシやシューズなどが含まれていた。囚人服はアウシュビッツで亡くなったポーランド人のパン職人が着ていたものとみられ、競売サイト上での提示価格は1万8000ドル(約180万円)となっていた。

 イーベイはこれらホロコースト関連の出品をサイトから削除して謝罪し、2万5000ドルを「適切な慈善事業に寄付する」と発表した。同社は声明で「こういった性質の出品は認めない。何千人ものスタッフがわが社のサイトを監視し、最新技術を使って、売りに出されるべきではない品々を見つけるようにしている」と述べた。ホロコースト関連の品物が、どの程度の期間にわたって売りに出されていたかは分からないという。

 メール・オン・サンデー紙によれば、問題の囚人服はカナダ在住のウクライナ人男性、ヴィクター・ケンプ(Victor Kempf)氏が出品した。同氏は、自分は歴史家で米国人ディーラーからその囚人服を買ったと述べている。

 同紙に対しケンプ氏は「こうした品物を売って利益を得ることを人々が悪いと思うことは理解できるが、私はこれらを記録として残すため、そして自分の本の出版費用の足しにするために売りに出した。もし私がホロコーストの犠牲者の子孫だったとしたら、自分の先祖がどのように生きたのか知りたいし、彼らを記憶にとどめるために、こうした品を買い取りたいと思うだろう。ただ金のためだけに売りに出したとは思われたくない」と語った。(c)AFP