【10月23日 AFP】イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)前監督のアレックス・ファーガソン(Alex Ferguson)氏が22日、自身の2冊目の自伝『My Autobiography』の出版会見を行った。

 今回の自伝では、デビッド・ベッカム(David Beckham)氏やクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)、ロイ・キーン(Roy Keane)氏、ウェイン・ルーニー(Wayne Rooney)らスター選手との関係も明らかされている。

 ファーガソン氏は自伝の中で、ユナイテッド時代後半のベッカム氏は完全に名声に取りつかれていたと語り、ルーニーが前シーズン終盤に退団を申し出た際の経緯も再び明らかにした。

 また、長年チームの主将を務めたキーン氏については、お蔵入りになったクラブの公式テレビMUTVのインタビューで、若いチームメート数人を非難したため、それが退団につながったことを認めた。

 さらに自身については、1999年と2001年にイングランド代表監督の就任要請を受けたものの、どちらも断ったことを明らかにした。

 これについてファーガソン氏は、「じっくり考えようと思ったこともない。針のむしろに座る仕事に心を惹かれるわけがない」とつづっている。

 昨シーズン終了をもってユナイテッドの指揮官を退任した71歳のファーガソン氏は、史上最長となる26年半の在任期間でプレミアリーグ13回、チャンピオンズリーグ2回、FAカップ5回、リーグカップ4回の優勝を達成している。

 チームの選手を厳しく管理することで評価を確立したファーガソン氏は、ともに仕事をしたスーパースターの何人かについて、とりわけ率直な物言いを見せている。

 ベッカム氏については「私が指導した中で唯一、名声を選び、サッカーの外で有名になることを自身の使命とした男」と評した。

 また、2009年にユナイテッドからレアル・マドリード(Real Madrid)へ移籍したロナウドについては、「私が教えた中で最も才能に恵まれた選手」と語り、そのプレーを初めて見たときは「監督をしてきた中で最大の興奮に襲われた」とつづった。

 そして、2010年と2013年5月に退団を申し入れてきたルーニーについては、その際の本人との会話を明らかにした。

 ファーガソン氏は今回初めて、ルーニーがチームの今後に危機感を抱き、9月にクラブ史上最高額の移籍金でアーセナル(Arsenal)に加入した司令塔、メスト・エジル(Mesut Ozil)の獲得を進言していたことを明かした。

「エジルはヴェルダー・ブレーメン(Werder Bremen)からレアル・マドリードに加入したが、ウェインはユナイテッドがエジルを説得すべきだったと言ってきた」

「私は、誰を取るべきかを決めるのは選手の仕事じゃないと答えた。選手の仕事は良いプレーを見せることだと」

 ファーガソン氏は、前シーズンのルーニーが「サッカーへの意欲をなくしているように見えた」と語り、退団を申し入れてきた際の経緯も明らかにした。

「リーグ優勝した次の日、私の執務室へ来てチームを出たいと言ってきた。試合にあまり出られず、誰かのサブ扱いされるのは嫌だとのことだった」

 またファーガソン氏は、自身の後を継ぎ、1989年以来最悪の序盤戦の中で奮闘しているデビッド・モイーズ(David Moyes)監督についても、改めて支持を表明している。

「知っているだろうか。マンチェスター・ユナイテッドはプレミアリーグの中で唯一、逆境から優勝できるチームだということを。だから私を信じてほしい」

「ひとたび状況が好転すれば、すべてが上手くいき始めるだろう。デビッド・モイーズは素晴らしい地位にいる。素晴らしいサポート体制が整っているのだ」

 本書はファーガソン氏が1999年に発表した『マネージング・マイ・ライフ(Managing My Life)』に続く2冊目の自伝で、店頭に並ぶのは今月24日からとなる。(c)AFP/Tom Williams