【4月15日 AFP】南極の夏の氷が600年前と比べて10倍の速さで融解しているとの研究が、15日の英科学誌ネイチャージオサイエンス(Nature Geoscience)に掲載された。融解量の急速な増加は過去50年間で起きているという。

 オーストラリア国立大学(Australian National University)と英国南極研究所(British Antarctic Survey)は、南極半島(Antarctic Peninsula)沖にあるジェームズロス島(James Ross Island)から364メートルの氷床コアを採掘し、同地域の過去の気温を調査した。

 氷床コアに刻まれた層は、南極の氷が夏に融解し、再び凝固したことを示している。研究チームはこれらの層の厚みを計測し、過去1000年間の現地の気温の変化と比較して、氷の融解の歴史がいかなるものだったのかを分析した。

「南極半島が最も涼しく、溶けた氷の量が最も少なかった夏は、およそ600年前だった」と、論文主執筆者でオーストラリア国立大学の地球科学研究所(Research School of Earth Sciences)のネリリー・アブラム(Nerilie Abram)氏は述べた。「その当時の気温は20世紀末よりも1.6度ほど低く、年間降雪量のうち、融解して再凝固したものは0.5%だった。現在では、年間降雪量に対する融解割合は、(600年前の)10倍近くになっている」

「現地の気温は数百年かけて段階的に徐々に上昇したが、融解量の増大の大半は20世紀半ばから始まった」とアブラム氏は付け加え、「つまり、気温がわずかに上昇しただけで夏の氷の融解量が大きく増加する段階まで、南極半島が温暖化したことを意味する」とまとめた。(c)AFP