【11月7日 AFP】これまで骨でしか見つからず、世界で最も珍しいクジラといわれていたトラバースオウギハクジラ(学名:Mesoplodon traversii)の生きた個体を、ニュージーランドで初めて確認したとの報告が米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に発表された。

 このほどトラバースオウギハクジラと確認されたのは、2010年12月にニュージーランドのオパペ・ビーチ(Opape Beach)に座礁していた親子とみられる雌の成体と雄の幼体の2頭。当初は比較的よく知られているミナミオウギハクジラと考えられていたが、採取した組織をDNA鑑定にかけた結果、トラバースオウギハクジラだと分かったという。

 オークランド大学(University of Auckland)のロシェル・コンスタンティン(Rochelle Constantine)博士によると、トラバースオウギハクジラは過去140年間にニュージーランドとチリで3頭ぶんの頭蓋骨の一部が見つかっただけで、生きた姿はこれまで1頭も目撃されていなかった。体長5メートル程度と推定されるが、詳しい生態はほとんど解明されておらず、絶滅したかどうかも分かっていなかった。

   「完全な標本2頭が初めて確認できたのは、非常に幸運なことだ」と、コンスタンティン博士は話している。(c)AFP