【6月11日 AFP】真に最高のワインを作る秘密は海にある――フランスのワイン愛好家の3人、ぶどう園の経営者、たるメーカー、それにカキ養殖業者がチームを組んで「伝説」の解明に挑み、その研究結果が今週、パリ(Paris)で発表された。

 仏ボルドー(Bordeaux)南西部にあるシャトーラリベ・オーブリオン(Chateau Larrivet Haut-Brion)を経営するブルーノ・ルモワン(Bruno Lemoine)氏は、「海で熟成されるワインの話はたくさん聞いた」と述べ、18世紀、ボルドーのLouis-Gaspard d'Estournel男爵がインドにワインを輸送した際、売れ残ってフランスに戻ってきたボトルが不思議なことにおいしくなっていたという最も古くから知られている海のビンテージの話を例に挙げた。

 直近の話では8日、2010年にバルト海(Baltic Sea)の底に沈む難破船から発見された世界最古のシャンパン、11ボトルがフィンランドで競売にかけられ10万9280ユーロ(約1100万円)で落札されている。

 旧ジュグラー(Juglar)のボトル6本、ヴーヴ・クリコ(Veuve Clicquot)のボトル4本、エドシック(Heidsieck)のボトル1本は、約200年前の沈没事故以来ずっと海底で保管されていた。専門家らは、バルト海の「光が届かず冷温」という理想的な環境の中で味が良くなったと信じている。

「このような想像が面白く興味をそそるものだったので、2009年に最良のビンテージを入手した際に実践してみようと思った」とルモワン氏は語った。

■海で6か月間熟成

 まずルモワン氏は、6か月の熟成をさせるため、たるメーカーのPierre-Guillaume Chiberry氏に小型の木製たる(56リットル)2つの製造を依頼した。

 たるの1つはシャトーの蔵に寝かせ、もう1つはカキ養殖で名高いボルドー北部アルカション(Arcachon)湾に沈めることにした。シャトーのたるはローマ神話の大地の女神と同じくテルス(Tellus)と名付け、一方の海のたるは海の神からネプチューン(Neptune)と名付けた。

 ネプチューンの設置にはカキ養殖業を営むルモワン氏の友人、ジョエル・デュピュシュ(Joel Dupuch)氏が協力した。干潮標のそばにコンクリート製の容器を作り、中にたるを収め、水の流れを確保しつつ、たるが流されないようにした。

 デュピュシュ氏はパリのワイン愛好家や記者団に対し、「(海底に横たわっているかのように)たるが少しだけ転がることができるようにした」と語った。

 たるは、潮が最も引いた際に一時的に大気にさらされた。6か月の熟成期間中、およそ25回から30回ほどそのような機会があったという。

 2つのたるは1月に回収され、ボトル詰めされた後、味見され、研究機関での分析が行われた。

■海の神、その結果は……

 シャトーの蔵に寝かせたテルスの結果はあまり芳しいものではなかった。だがネプチューンは全体的に良い驚きをもたらした。

 テイスティングの専門家、Bernard Burtschy氏はパリの会見で「予想よりもはるかにおいしかった」と述べ、テルスと比べてより円熟味があり、より複雑な味がしたとその感想を述べた。

 研究機関の分析結果は、この味の変化を解明するのに役立った。たるにはステンレス製の栓で防水加工をしていたが、浸透作用によりワインがゆっくりと変化していたことが確認された。アルコールが一部失われる一方で、ナトリウム濃度が上昇し、タンニンの味を引き出すほのかな塩味が加えられていた。

「古代ローマ人はワインに塩水を少々加えたものだった」とBurtschy氏は指摘した。

 一方、ルモワン氏の探求はまだ終わっていない。「ある時点での味を確かめただけだ。今後長い期間をかけてワインがどのように変化するかを確認しなければならない」とルモワン氏は語り、今後10年間かけてワインの味を確認する考えを表明した。(c)AFP

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