【4月29日 AFP】溶け出したカナダ北部の氷河から、カリブーなどの獲物を捕獲する古代の狩猟道具が発見された。カナダの考古学者らが27日、発表した。

 カナダ・イエローナイフ(Yellowknife)にあるプリンス・オブ・ウェールズ・ノーザン・ヘリテージ・センター(Prince of Wales Northern Heritage Centre)の考古学者で、国際極年(International Polar Year)の研究プロジェクトである氷河研究を率いたトム・アンドリュース(Tom Andrews)氏らが、発掘調査を実施し、同国ユーコン(Yukon)準州にあるマッケンジー山脈(Mackenzie Mountains)上部の氷河で、2400年前のやり投げ用の道具と1000年前のジリスを捕らえる輪なわ、850年前の弓矢を発見した。

 アンドリュース氏は声明文で、「非常に精巧な木製の弓とダート(短い矢)の柄で、だれかが石の前に座って作ったとは信じられない。素晴らしい道具だ」と述べた。

 これらの道具は、カリブーが数千年にわたり、暑さや昆虫を避けて集まっていた氷河で発見された。カリブーを追って氷河にやってきた古代の狩人が残していった排せつ物と毎年堆積していく氷の層から発掘された。

 アンドリュース氏は1997年、4300年前のダートの柄の部分がこの付近から見つかったため、2000年からマッケンジー山脈の衛星画像を調べて氷河の位置を特定し、調査していた。

 今回の調査では、生物学者らが排せつ物に残された植物や昆虫、花粉、カリブーの寄生虫を調査しているほか、DNA鑑定を用いてカリブーの血統や移動パターンを調べる研究も行われている。(c)AFP/Michel Comte