【2月9日 AFP】特定の遺伝的変異があると、老化が3~4年早まる可能性があるとする研究結果が8日、科学誌「ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)」に発表された。 老化作用に遺伝子が直接関連付けられた研究は、今回が初めて。

 人間の老化には、経時的なものと生物学的なものの2通りがあることが、これまでの研究でわかっている。経時的な老化は誰もが等しく経験するが、生物学的な老化はその速度が個人によって異なり、しかも細胞レベルで発生する。

 生物学的老化において重要な構成要素が、テロメアと呼ばれる微小な構造だ。このテロメアは、染色体の先端に保護キャップのように取り付いている。

 テロメアは細胞が分裂するたびに短くなっていき、テロメアが一定の限界を超えて短くなると、細胞は死んでしまう。これが自然老化現象の一部の要因となっている。

 喫煙や不健康な食事などの環境要因も生物学的老化を加速させる恐れがある。

■研究で明らかになったこと

 英レスター大学(University of Leicester)などの研究チームは、特定の遺伝的変異がある人ではテロメアが短い、つまり生物学的に老化が進んでいることを見いだした。そしてこの変異は、TERCと呼ばれる遺伝子の付近で起こっていることが確認された。TERCは以前、マウスの実験で、老化の加速との関連性が指摘されている。

 この変異によって、心臓病や一部のがんなど、加齢に関連した疾患に、よりかかりやすくなる可能性があるという。(c)AFP