【9月14日 AFP】(写真追加)厳重な警備下で保管され、あらすじは非公開、著者は沈黙を守っている-2003年の大ヒット小説『ダ・ヴィンチ・コード(The Da Vinci Code)』の続編、『The Lost Symbol(ザ・ロスト・シンボル)』(英語版)が15日、いよいよ書店に並ぶ。

 この新作小説は完全に秘密のベールに包まれている。出版社の警戒ぶりは倉庫に警備員を配置するほどだ。

 しかし、作者ダン・ブラウン(Dan Brown)氏お得意の、秘密結社やカトリック教会、象徴学者のロバート・ラングドン(Robert Langdon)などが登場する込み入った物語(ばかばかしいという向きもあるが)と同様、必ずしもすべてが見かけ通りではない。

 こうした秘密主義は、8000万部という記録的ベストセラーとなった「ダ・ヴィンチ」の成功を再び狙う出版元クノッフ・ダブルデイ(Knopf Doubleday Publishing Group)が展開する大規模な発売宣伝キャンペーンの一環だ。今回、『The Lost Symbol』は思い切って初版から500万部を刷っているが、電子版も同日発売される。予約だけでもすでに米アマゾン(Amazon)のベストセラーリストのトップに上っている。

 発売開始後16日からのキャンペーンでは、めったにメディアに姿を現さないブラウン氏が、米NBCテレビにも出演する予定だ。

 しかし今のところ沈黙は――沈黙していることを大々的に宣伝することも含め――、金だ。

 NBCの番組「トゥデイズ・ショー(The Today Show)」によると、ダブルデイではこの本の関係者には口外禁止の念書にサインさせられ、また完成本は文字通り「鍵を掛けて」厳重に保管されているという。ダブルデイの親会社である米ランダムハウス(Random House)のジャクリーン・アップダイク(Jacqueline Updike)氏は、「警備員を置いた安全な場所で保管している完成本をわれわれは常時、監視カメラで見張っている」と語った。

 象徴学者ラングドン教授が主人公の3作目となる『The Lost Symbol』の表紙には、ワシントンD.C.(Washington D.C.)の米連邦議会議事堂が描かれ、さらに双頭のフェニックスの絵柄や数字の33、「秩序から混沌」を意味するラテン語「ordo ae chao」という言葉が入った封ろうがデザインされている。この表紙から、ストーリーの中心になっているのは秘密結社「フリーメイソン(Freemason)」ではないかという憶測もあがっている。

 しかし、こうした断片的な情報はあるものの、ブラウン氏の担当編集者が物語は12時間という短時間の中で展開することを明かした以外には、ほとんど何も分かっていない。

 同様にブラウン氏のウェブサイトも、ブラウン氏自身の短い略歴しか掲載されていない。その代わりに「シンボル探し」と題した、コンパスのような形をした円にあてはまる謎めいた記号を推理するゲームが待っている。

 今作でもブラウン氏の経済的成功はほぼ間違いないが、世界中で巻き起こる反応も前作同様だろうと予測できそうだ。前作『ダ・ヴィンチ』は文学批評家たちから酷評され、ローマ法王庁は『ダ・ヴィンチ』やそれを原作とした映画は反カトリック的だと非難した。

 だが、ファンたちは15日が待ち遠しくてたまらない。ウェブサイトにはこう記されている。推理ゲームの解答も含め「すべてはもうすぐ明らかになる」。(c)AFP/Sebastian Smith

【参考】ダン・ブラウン氏のウェブサイト(英語)