【6月26日 AFP】ジョセフ・ナイ(Joseph Nye)米ハーバード大(Harvard University)名誉教授は25日、米下院の日米関係に関する公聴会で証言し、国際的な懸案事項の協議において米国が中国と公的な協力関係を築くことは、日本との長期にわたる同盟関係を損なうため、避けるべきだと提言した。

「ソフト・パワー」という概念を提唱したことで知られ、米外交政策にも強い影響力を持つナイ氏は、米国の指導者たちは、「(日米)同盟を最優先事項としていることを保障し」、アジア外交において日本が抱いている「ジャパン・パッシング(日本外し)」の恐怖を和らげる必要があると指摘。「多国間協力ではなく(米中2カ国の)G2構想を語るのは誤りだ」と述べた。

 その上で、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)国務長官が初めての外遊となるアジア歴訪において日本を最初に訪問したことは、(米国が日本を最優先に考えているとの)重要なシグナルだとの見方を示した。

 ナイ教授はまた、1990年代に日本の一部の指導層から、「アジアにおける最重要同盟国の座が日本から中国に移る可能性」について個人的に質問されたことを明らかにした。このとき、「中国は民主国家ではなく、日本と違い将来的に米国の脅威になる可能性がある」ためにその心配はないと答えたという。(c)AFP