【5月23日 AFP】米大統領選の共和党候補指名が確実とみられるジョン・マケイン(John McCain)上院議員への支持を表明したキリスト教福音派のテレビ伝道師ジョン・ヘイギー(John Hagee)牧師が、ナチス・ドイツが「神の意志」に従ってユダヤ人を欧州から追い立てたという発言をしていたことが22日明らかになった。マケイン氏はヘイギー牧師の支持の辞退を表明するなど、防戦を強いられている。

 オンライン・ニュースサイトのハフィントン・ポスト(The Huffington Post)は22日、アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)は神に遣わされた「ハンター」としてユダヤ人をイスラエルに追い立てたとするヘイギー牧師の1990年代の説教を音声と文章でウェブサイトに掲載した。

 マケイン氏は「これらの発言は、非常に攻撃的で、弁護できるものではなく、誤っている」と強調し、「ヘイギー牧師から支持の表明を受けた時点ではこの発言について知らなかった。今は彼の支持を拒否すべきだと考えている」と述べた。

 ヘイギー牧師は米国で著名なテレビ伝道師で、テキサス(Texas)州サンアントニオ(San Antonio)に親イスラエルの「Cornerstone Church」を設立した。ヘイギー師のホームページによると同組織の会員数は1万9000人に上る。

 マケイン氏は、米大統領選の民主党候補としてライバル視するバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員とオバマ氏が師と仰いでいたジェレミア・ライト(Jeremiah Wright)牧師との関係を引き合いに出し、両者の関係とは異なり自分がヘイギー牧師の教会の会衆だったことは無いと述べた。

 しかし、評論家の間では今回の出来事をライト牧師の発言問題と比較する声もあがっている。オバマ陣営はライト師が説教の中で行った人種差別的な発言によって、数週間にわたって防戦を強いられる厳しい選挙戦を余儀なくされた。(c)AFP/Stephen Collinson