【8月24日 AFP】(一部修正)ウィーン(Vienna)のシェーンブルン動物園(Schoenbrunn Zoo)で23日、欧州初となる、自然妊娠でジャイアントパンダの赤ちゃんが生まれた。動物園でのジャイアントパンダの出産は人工授精による例がほとんど。

■とても仲の良いカップルだから目指した「自然妊娠」

 元気な赤ちゃんを生んだ母親のヤンヤン(Yang Yang)と父親ロンフイ(Long Hui)はいずれも7歳。2003年に中国から貸し出され、1年後から同居している。園長によると2頭は「とても仲良く」暮らしており、「出産は自然の分娩にしたかった」のだという。

 交尾をしたのは4月27日だったが、8月6日に行われたヤンヤンの超音波検査では妊娠の兆候はなかったため、動物園側は「あきらめかけていた」(園長)という。

 ところが23日朝、飼育員がヤンヤンのゲージから変わった物音がするのに気付いた。そこで監視カメラの映像を見てみると、出産が確認されたという。来場者から熱望されていた赤ちゃんの誕生だった。その時、父親のロンフイは、いつもと変わらず竹を食べていたという。

■生まれたパンダは中国側が命名することに

 赤ちゃんは体長約10センチ、体重100グラム、雌雄は判明していない。現在はまだ、ほとんど無毛で全身ピンクだが、約4週間後には白黒の毛が生えそろうという。

 パンダの雌の妊娠可能期間は1年を通じてわずか3、4日間しかないことから、動物園での自然繁殖を非常に難しいとされている。

 中国政府は1984年以来、「パンダの貸出制度」を行っており、各国の動物園は年間最大100万ドル(約1億1600万円)を中国に支払っている。ちなみに、ヤンヤン、ロンフイ、2頭の所有権を持つ中国が、この赤ちゃんの命名権を持っている。

 絶滅危惧(きぐ)種に指定されているパンダは、野生では四川省(Sichuan)の山奥を中心に約1600頭が生息しており、約160頭が動物園などで飼育されている。(c)AFP