【5月23日 AFP】国営新華社通信(Xinhua)が22日伝えたところによると、政府当局はインターネット業界やユーザーからの激しい抗議を受け、ブロガーに実名登録を義務付ける計画を撤回する予定だという。

 インターネットという新たなメディアの急速な成長をめぐって中国政府高官の間で懸念が広がる中、胡錦濤(Hu Jintao)国家主席はインターネットの「浄化」運動を展開している。同運動の一環として作成された実名登録計画は、匿名でサイバー空間に潜むブロガーたちが社会に「悪影響」を及ぼすのを防ぐことを狙ったもので、2006年後半に内容が公表された。

 政府が管理する企業団体の中国インターネット協会(Internet Society of ChinaISC)は今週、新たな計画案を発表した。同案では、実名登録は「義務」ではなく「推奨」されるに留まっている。

 新華社通信は「実名登録制度がインターネット使用者に言動を慎ませ、名誉毀損、ポルノ、その他の『有害』情報の流布を防止するのに有用だとして、政府機関は同制度を推奨してきた。だが、この計画はインターネット業界や増加の一途をたどるインターネット使用者の反発を招いた」と報じる。同通信によれば、人気のインターネットポータルサイト、Sohu.comZhang Chaoyang最高経営責任者(CEO)は「政府の当初の計画が実行されれば、サイバー空間の自由が縮小され、インターネット上の自由な精神が損なわれる」と懸念を示したという。

 一方、新華社通信は「政府の政策変更は、単に計画の実現が極端に困難で多額の費用を要するため」とする産業界の声も掲載している。

 規制内容が実名登録の「推奨」に緩和されたとしても、2000万人とも言われる国内のブロガーが西欧式の「インターネットの自由」を享受するわけではない。(c)AFP