【東京 6日 AFP】8日に投開票が行われる東京都知事選挙では、タクシードライバーからストリートミュージシャン、自称「芸術家」まで、泡沫候補が乱立する事態となっている。

 今回立候補したのは全部で14人。最新の世論調査では、3期目を狙う自民党公認候補の石原慎太郎都知事がリードを保ち、無所属で民主党推薦の浅野史郎前宮城県知事が追っている。

 今回の選挙には、マレーシアのクアラルンプール(Kuala Lumpur)の国際空港やアムステルダム(Amsterdam)のゴッホ美術館新館の設計した事でも知られる建築家の黒川紀章氏や発明家のドクター中松氏(本名:中松義郎、78)も立候補している。

 ドクター中松氏は2005年、「自分の食事を34年間撮影し、食べた物が脳の働きや体調に与える影響を分析した」ことに対し、風変わりな研究に贈られる「イグ・ノーベル賞(Ig Nobel Prize)」栄養学賞を受賞。過去3回の都知事選に立候補し、いずれも落選している。

 しかし、以上のように名の知れた候補者はごくわずかで、候補者の大半が「泡沫候補」である。

 特に若者の有権者らは、こうした状況をおもしろがっているが、「そうした候補者の多くは単なる売名行為」との皮肉も聞かれる。

 都道府県知事への立候補には300万円の供託金が必要となり、得票数が有効得票総数の10%を下回ると供託金は没収される。ただし、NHKの政見放送においては、各候補には全く同じ放送時間が割り当てられる。

 千葉大学法経学部の新藤宗幸教授は、「都知事選には泡沫候補の乱立がつきものだが、彼らは、テレビなどのメディアを通じて自分が言いたいことを言っているだけ。(政見放送などは)『人間の見本市』の様相を呈している」と語った。

 写真は東京で3日、駅前の広場で支持者に語りかけるストリートミュージシャン(36)の候補者。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO