【東京 8日 AFP】米国と北朝鮮は先月、ベルリンで開催された会談で北朝鮮が原子炉の停止などを実行する対価として、エネルギー支援を約束する覚書きに署名したと日本の朝日新聞が報じた。

 この覚書きは、北朝鮮核開発をめぐる6か国協議の米国主席代表クリストファー・ヒル(Christopher Hill)国務次官補と北朝鮮主席代表金桂冠(Kim Kye Gwan)外務次官との間で交わされたとされる。

 朝日新聞は米朝の関係筋の話しとして、北朝鮮が寧辺(Yongbyon)の原子炉を停止し、国際原子力機関(International Atomic Energy Agency、IAEA)の査察を受け入れることに同意。一方、米国は北朝鮮に対しエネルギーおよび人道的支援を行う内容の記述はあると伝えた。

 おりしも8日から、米国、北朝鮮、中国、日本、韓国、ロシアの6か国の主席代表が、北京で北朝鮮の核開発停止に向けて協議を再開される予定。この初期段階の措置に合意した覚書きは、今回の協議の基礎になるものとみられる。

 6か国協議の議長の武大偉(Wu Dawei)中国外務次官は、ヒル米国務次官補から事前伊に覚え書きを入手し、金外務次官から説明を受けたという。

■ 前回は合意に至らず

 前回の6か国協議では合意に至らず、2006年10月の北朝鮮による核実験の阻止に失敗している。その後、米国は異例ともいえる北朝鮮との2か国間の直接対話に踏み切った。

 2005年には、北朝鮮の核兵器開発計画の放棄対し、同国の安全保障、エネルギー支援などが合意されていたが、北朝鮮のマネーロンダリング(資金洗浄)と通貨偽造を理由に米国が金融制裁を開始したため、北朝鮮は6か国協議から離脱した。

 北朝鮮は2006年12月、核兵器実験に対する国際社会からの圧力を受けて、6か国協議復帰を示唆したが、金融制裁解除まで交渉に応じないと主張していた。

 写真は、2005年9月11日に撮影された寧辺の原子炉と核施設。Digitalglobe提供。(c)AFP/DIGITALGLOBE-ISIS/