【10月1日 AFP】米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は30日、米国籍を持つアンワル・アウラキ(Anwar al-Awlaqi)師の殺害が、米司法省の秘密メモで承認されていたと報じた。

 米政府は今回の作戦の詳細の公開を拒んでいるが、米中央情報局(Central Intelligence AgencyCIA)と、CIAの管轄下にある軍の人員や装備によって実施された米軍の無人攻撃機による空爆でアウラキ師は殺害されたと報じられている。

 同紙によるとこの秘密メモは、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領政権の上級法律顧問が、米国民を殺害対象にすることについて法的に懸念のある点を検討したうえで作成された。アウラキ師殺害を受けてある元情報機関幹部は同紙に、米司法省の同意がなければCIAが米国民を殺すことはなかったはずだと語ったという。

 別の複数の米当局者は同紙に、アウラキ師殺害の適法性について意見の食い違いはなかったと証言した。ある当局者は同紙に「このケースにおける適切な手続きとはすなわち、戦時における適切な手続きだ」と語ったという。

■「裁判手続きによらない死刑」との指摘も

 あるオバマ政権幹部は先に、「一般的に言って、米国民を殺す計画を立てている敵の高位の指導者を米国が標的にすることは、その人物の国籍にかかわりなく、まったく合法的だろう」と述べていた。匿名を条件に語ったこの政権幹部は、議会の権限と「われわれの自衛権を認めている確立された国際法」を根拠に、そのような人物を標的にすることを正当化した。

 批判的な人々は、米国籍を持つテロ容疑者を米国外で殺害する場合の法的な基準を公にするようオバマ政権に求めており、そうしない限り、そのような殺害は米国法と国際法に違反する裁判手続きによらない死刑に当たると指摘している。アウラキ師は、CIAの暗殺対象者リストに掲載された初の米国民だった。(c)AFP