【10月28日 AFP】イラクの米軍は10月末にも中部カルバラ(Karbala)州の治安権限をイラク軍に移譲する。Akhil al-Khazaliカルバラ州知事が27日明らかにした。

 治安権限のイラク部隊への移譲は全18州の8州目となる。移譲後、米軍は予備的役割を担い、緊急時や知事の要請があった場合のみに出動する。

 カルバラ州は首都バグダッド(Baghdad)の南80キロに位置し、シーア派住民が多数を占める。治安はほかの中部および西部州に比べ比較的安定しているとされるが、最近になりシーア派内の抗争の火だねとなってきている。

 イスラム教シーア派の重要な聖地とされるイマーム・フセイン(Imam Hussein)廟(びょう)とイマーム・アッバス(Imam Abbas)廟(びょう)がある同州では今年8月のイスラム祭典のさなかにも流血騒ぎが発生した。

 数万人が12世紀のイスラム指導者の廟を巡礼に訪れるなか、シーア派民兵組織と治安部隊との銃撃戦になったこの騒動では、少なくとも52人が死亡している。

 カルバラ州に先立ってイラク軍に治安権限が移譲されたのは、中部および南部のマイサン(Maysan)、ムサンナ(Muthanna)、ディカル(Dhi Qar)、ナジャフ(Najaf )の4州と北部クルド人自治区内のアルビル(Arbil)、ドホーク(Dohuk)、スレイマニヤ(Sulaimaniyah)の3州。

 Khazali知事はAFPの取材に、「先の武力衝突では多くの困難に直面したが、(治安権限の)責任を引き継ぐ決意は固い」と語り、イラク軍については「使命を遂行する能力を持つ」と明言した。

 一方で、この日もイラク各地では殺りくや流血が後を絶たず、中部の都市バグバ(Baquba)近郊では宗派間抗争によるものとみられる身元不詳の腐敗した死体17体が発見されたほか、各地でも12人の死亡が明らかになっている。(c)AFP