【3月15日 AFP】(一部更新)アフガン駐留の米兵が11日未明に女性や子どもなど16人を射殺した事件を受け、14日同国を訪問したレオン・パネッタ(Leon Panetta)米国防長官を乗せた飛行機が着陸した際、盗難車が滑走路に進入する騒ぎがあった。

 カブール(Kabul)で記者会見した米国防総省の報道官は、パネッタ長官搭乗機がヘルマンド(Helmand)州のキャンプ・バスティオン(Camp Bastion)に着陸したのとほぼ同じ午前11時(日本時間同日午後3時30分)ごろ、アフガニスタンの民間人がNATO軍の兵士から奪ったピックアップトラックが、猛スピードで空港内の溝に落ちて炎上したと語った。

 警備隊が対処したが、犯行の理由はまだ分かっていない。犯人は炎に包まれていたという。火は消し止められたが、犯人は重度の火傷を負い、15日朝に死亡した。

 米当局はこの犯行がパネッタ国防長官を狙ったものだという証拠はないと強調したが、基地の警備状況への懸念が浮上し、アフガン駐留NATO軍はいっそう危機的な雰囲気に取り巻かれている。

■銃乱射の米兵はアフガン出国

 米国防総省は14日、11日の事件の容疑者である米陸軍軍曹はすでにアフガニスタンを出国したと発表した。その行き先は明らかにされていないが、仮に容疑者が米軍事裁判で裁かれることになれば、国内での公開裁判を要求するアフガニスタン政府の意向に反することとなる。

 容疑者の国外移送によって、2014年以降の米軍のアフガニスタン駐留をめぐる交渉がさらに困難になる恐れがある。すでにハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領は、NATO軍のアフガン完全撤退が決まっている2014年以降は、昨年末に米軍が完全撤退したイラクと同様に、アフガン駐留米軍人への訴追免責の付与を拒否する考えを示している。(c)AFP/Dan De Luce

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