【10月31日 AFP】11月2日の米中間選挙を前に、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が掲げた改革の時代は、すでに幕が下り始めている。仮に共和党が大勝できなかったとしてもこの事実は変わらない。

 2008年の大統領選に「希望」と「変化」を掲げて彗星のごとく登場し当選したオバマ氏は、医療保険制度改革、金融規制改革、膨大な予算をつぎ込んだ経済危機対策など、内政に関する歴史的な法案を続々と成立させた。

 また、民主党の結束を強め、共和党の穏健派をも味方につけて、共和党指導部が反対する法案も多数議会を通過させた。だがこの戦術は、中間選挙後に出現する新たな政治的環境のなかでは通用しないだろう。

■与野党の妥協は望み薄

 共和党が下院で過半数の議席を獲得できず、上院で民主党優位を削ることに失敗したとしても、オバマ大統領が腕を腕を振るう余地が小さくなるのは明らかだと大半の専門家は考えている。

 中間選挙後、オバマ氏は残る大統領任期の2年間を「小さな行動を積み上げて成果らしきものをこしらえることに安住しようとするのだろうか」と、米アーカンソー大学(University of Arkansas)のアンドルー・ダウドル(Andrew Dowdle)教授は問う。

 民主党と共和党の双方が、有権者に対して両党の協調姿勢をアピールする必要があると考えれば、教育、財政赤字削減、手詰まり状態にある自由貿易交渉、エネルギー改革の分野で妥協が可能だろうと分析する政治アナリストもいる。

 だが、2012年の次期大統領選でオバマ氏が再選して新たな改革の時代の扉を開かない限り、地球温暖化や包括的移民制度改革での妥協は難しそうだ。

■米政界の分裂克服、オバマ氏に足りないものは

 オバマ氏は「赤い(共和党の)アメリカも青い(民主党の)アメリカもない」とうたった2004年の演説でその名を初めて全米に知らしめた。理論上はオバマ氏の立ち位置はそう悪いものではないはずだ。

 米有力シンクタンク、ブルッキングス研究所(Brookings Institution)のウィリアム・ガルストン(William Galston)氏は、「あの演説で、オバマ氏は赤いアメリカと青いアメリカに分裂した米国を1つにすると約束した。オバマ氏はまだこの約束を果たしていない」と語る。

 ワシントンの毒を洗い流すと誓ったオバマ氏の崇高な約束はまだ果たされていない。オバマ氏が共和党との協調の道を模索するとしても、共和党がそれに応じようとするのか―あるいは政治的にそれが可能なのか―は不透明だ。

 オバマ大統領の政策への反対運動を展開する保守派市民連合「ティーパーティー(Tea Party)」の影響で共和党は保守傾向を強め、共和党がオバマ政権に妥協する余地が狭まる可能性もある。

 次の大統領選が近づきつつあるなか、共和党に民主党の大統領を支えねばならない動機はほとんどない。共和党のミッチ・マコネル(Mitch McConnell)上院院内総務は同党が柔軟姿勢をとる可能性もあると示唆したが、それは「共和党の利益になる場合だけに限られる」としている。

 2008年の大統領選で巧みな選挙運動を展開したオバマ陣営だが、政権の座についてからは柔軟性に欠け、その政治手腕については疑問符がつく。

 分裂した米政界には大統領による根回しが必要だが、オバマ氏はその種の政治工作を見下しているかのような対応をとることが多かった。折に触れ気位が高いとみられるオバマ氏には、ビル・クリントン(Bill Clinton)元大統領の親近感を抱かせるカリスマ性、リンドン・ジョンソン(Lyndon Johnson)元大統領の議会運営力、ロナルド・レーガン(Ronald Reagan)元大統領の抗しがたい人間的な魅力が欠けている。(c)AFP/Stephen Collinson