【8月7日 AFP】北京五輪を1年後に控え、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は7日、中国の人権侵害に関する報告を発表し、同国が基本的人権の侵害を続けており、早急な対応を取らない限り自国や北京五輪のイメージを傷つけることになると警告した。

 アムネスティは、中国政府が五輪に向けた整備を理由に、人権活動家や記者らを裁判もせずに拘束するなどの脅威にさらしていると非難した。

 アムネスティのアイリーン・カーン(Irene Khan)事務総長は報告書の中で、「中国政府が今後1年間で早急に人権侵害を阻止する措置をとらなければ、中国や北京五輪という遺産のイメージに傷がつくだろう」と述べた。

 アムネスティの報告「China:The Olympics Countdown-One Year Left To Fulfill Human Rights Promises」では、北京を拠点とする活動家や反体制派の人々が厳しい警察の監視下で自宅軟禁状態に置かれていると指摘している。

 外国人記者らへの規制は公式に緩和されているものの、国内メディアに対する圧力は高まっているとされ、直近では、政府の怒りに触れた複数の出版物が廃刊に追い込まれたという。

 「中国で続いている深刻な人権侵害は、『人間の尊厳保持』と『普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重』をうたったオリンピック憲章の基本原則を侮辱している」とカーン事務総長は述べている。

 報告は、死刑に対する監視を強化したことは歓迎しているものの、誤審を避けるため死刑判決と執行に関して完全かつ透明性の保たれた情報の公開を求めた。

 中国での死刑執行数は、世界各国での執行数の合計より多いとみられているが、実態は公表されていない。

 アムネスティは、五輪開催を契機に中国の人権問題に対する喚起を促そうとする団体の1つ。そのほかに、人権、出版の自由、中国の同盟国であるスーダンのダルフール紛争の状況などについて、中国政府に改善を求めている団体などもある。(c)AFP