【4月11日 AFP】ギリシャの主要紙タネア(Ta Nea)は6日、トラック運転手と男性同性愛者の両方を侮辱する内容だと指摘された電子チケット会社のコマーシャルの放映が中止されると報じた。
 
 4月に入り放映が開始されたこのコマーシャルは、伊トリノ(Turin)を目指す若いヒッチハイカーが貨物トレーラーに乗り込む設定。トレーラーのドアが閉まると運転手が電気のスイッチを入れる。すると車の奥でクマのぬいぐるみと枕が置かれたピンク色の寝椅子にネオンが付き、運転手がヒッチハイカーに向かって思わせぶりにキスを飛ばす。コマーシャルは「安上がりな旅をして、高くつくのがいいですか?」の台詞で終わる。

 このコマーシャルについて運送業界団体は、広告主のエアファストチケット(AirFastTickets)に対し非難声明を発表し「ギリシャのトラック運転手を理由なく残酷にばかにしている。貴社の名前やウェブサイトよりもずっと長く視聴者の記憶に残る侮辱を作り出した」と糾弾している。
 
 また同国の代表的な同性愛者団体「ギリシャ・ゲイ・レズビアン連合(Greek Gay and Lesbian CommunityOLKE)」も、このコマーシャルは男性同性愛者を型にはめるものだと非難し、「男性同性愛者が、無邪気な若者を誘惑しようとする、よこしまでセックスにとりつかれた人間のように描かれている。またしても、商品の宣伝をするために同性愛嫌悪や固定観念にすがるという安易な方法が選択されている」と批判した。

 エアファスト側はコマーシャルを作り直したが、それでもトラック運転手たちは納得していない。新しいバージョンでは、座席の後ろにどくろと電気のキャンドルがあり、運転手がカルパチア山脈を越えて行こうと言う。

 ギリシャ・トラック運転手組合の代表、アポストロス・ケナニディス(Apostolos Kenanidis)氏は「新しいコマーシャルでは、我々が死体愛好家みたいだ。これについても苦情を訴えたい」と述べた。(c)AFP