【6月24日 AFP】両脚を失ったカナダ人男性が、標高6000メートル近いアフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ(Mount Kilimanjaro)への登頂に成功し、社会参加の可能性を否定したかつての医師団の見解を覆した。

 この男性スペンサー・ウェスト(Spencer West)さん(31)は子どもの頃、遺伝的疾患の仙骨形成不全症で下半身不随になり、両脚を失った。しかしトロント(Toronto)在住のウェストさんは障害を克服して19日にキリマンジャロ山頂に到達し、信じられないほどの達成感を味わったと語った。

 ウェストさんはケニアの首都ナイロビからAFPに対し、「精神的にも体力的にも、山頂到達はこれまで経験した中で一番困難なことでしたが、それに取り組みながら自分を信じ、他人を信じるという強い教訓がさらに強固になりました」と語った。ウェストさんはまた、「体力的に辛かったのは、山の大半を手で這い上がり、肩と腕に大きなストレスがかかったことです」と付け加えた。手で上った行程は推定80%だとしている。

 ウェストさんの登山には、親友のデビッド・ジョンソン(David Johnson)さんとアレックス・ミアーズ(Alex Meers)さんが同行。60年来の深刻な干ばつに昨年見舞われたケニアの子どもたちに飲料水を供給している「フリー・ザ・チルドレン(Free the Children)」の活動資金を募る慈善目標を掲げた。ウェストさんは慈善活動とは別の個人的目標として、自身の5歳当時に医師団が両親に語っていた「社会的役割を担う一員にはなれない」との発言が誤りだと証明することを目指した。

 一行は「可能性を再定義しよう(Redefine Possible)」と題したインターネットのブログに、1日平均4時間の登山過程を撮影した画像や動画を投稿。ウェストさんが積雪や砂を越えていく中、試練や疑念に襲われた時もあったことを示す投稿もある。ウェストさんは6日目、「昨日は辛く寒いと思っていました。実際そうでしたが、今日とは比較になりません。これまでで一番きつい」と書いた。

 それでもウェストさんは臆せず山頂を目指し、翌日の6月19日には「可能性が再定義される日でした。とんでもなく苦戦しましたが、(登頂)成功です!」と誇らしげに宣言した。

 ただ、まだ到達していない目標がある。ウェストさんは支持者に謝意を表明した上で、フリー・ザ・チルドレンの活動資金として集まった募金額が50万カナダドル(約3900万円)であるものの、目標は75万カナダドル(約5900万円)だと述べ、「自分の目標達成に向けて、可能性を再定義する旅を続けたいと思います」と語った。(c)AFP