【4月7日 AFP】黄色いマントにスタイリッシュなサングラスを身につけた「皇帝」が、耳をつんざくばかりの大音量のテクノ音楽とともに、小さなキノコ型の住居から歩き出てくると、熱狂的な拍手が巻き起こる。身長が1メートルに満たない「皇帝」は、堂々とした姿勢でイスに腰掛ける――。

 雲南(Yunnan)省に前年9月にオープンしたテーマパーク内にある「小矮人帝国(Dwarf Empire)」では、妖精や戦士、料理人、僧侶などに扮(ふん)した低身長の人びとが来場者を楽しませている。

 欧米や日本では搾取的なフリーク・ショーだとして大きな批判の的になるであろうが、中国では低身長の人びとによるパフォーマンスのおかげで、テーマパーク内で最も人気の場所となった。

 この「帝国」では、身長79~130センチの人びと100人以上が働いているが、彼らはこのテーマパークが彼らの品位を傷つけているとの主張に対しては明確に否定する。嫌がらせや不当な扱いを受けたり、同じ境遇の人びとと交流する機会がほとんどない国にあっては、安息の地だと言い切る者もいる。

「帝国」で働く以前は広東(Guangdong)省で洋服を販売していたある従業員は、「ここに来るまで、われわれは差別の対象だった。だがここでは、みんなが平等で尊重されている。今は自らに尊厳をもつことができる」と語る。

 従業員たちは、「帝国」が欧米諸国では品位を傷つける存在として見られることも理解している。だが、人生におけるさまざまな機会が非常に限られている中国の低身長の人びとにとって、進歩の1つだと強調する。

 ホームシックになることもあるが、仲間との生活はここで働く低身長の人びとの人生を大きく変えた。従業員同士で恋いに落ち、結婚を希望しているカップルもいるという。

「ここで働くのはわたしたちの運命だと感じている。中国内のさまざまな場所からやって来たわたしたちが、家族として一緒に暮らしていく。みんな本当に幸せなのです」

(c)AFP/Dan Martin

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