【12月30日 AFP】まもなく2010年を迎えるにあたり、21世紀の最初の10年に起こった出来事を回顧する。

■9.11米同時多発テロ

 国際テロ組織アルイカイダ(Al-Qaeda)の指導者ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者は2001年9月11日、アフガニスタンの洞穴から米国に大きな衝撃を与え、その後の「紛争の10年」の火ぶたを切って落とした。

 総勢19人のアルカイダメンバーは、4機の米国内線旅客機をハイジャックし、2機がニューヨーク(New York)の世界貿易センタービル(World Trade Center)に、1機がワシントンD.C.(Washington D.C.)の国防総省に突っ込んだ。残る1機は、乗客の抵抗によりペンシルベニア(Pennsylvania)州で墜落した。2973人とハイジャッカーたちが死亡、世界貿易センタービルは崩落した。この直後から米国の世界観は大きく変わった。

 ビンラディン容疑者が捕まることはなかったが、当時のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)政権と恐怖にかられた米国民は、国内では保安体制を革命的に強化させ、海外では巨額の戦費を必要とする戦争へと突き進んでいった。

 9.11直後は全世界が米国に対する同情を示したが、グアンタナモ(Guantanamo)海軍基地のテロ容疑者収容施設やイラク・旧アブグレイブ(Abu Ghraib)刑務所でのイラク人収容者虐待事件、米軍のイラクやアフガニスタンでの行為により、米国のイメージは地に墜ちた。

■2つの戦争

 世界貿易センタービルのツインタワーが崩れ落ちてから数か月後、米国や欧州主要国は北部同盟などの勢力と協力し、当時のアフガニスタンで支配的だったイスラム原理主義勢力タリバン(Taliban)政権を崩壊させた。さらに、2003年3月19日、米国はサダム・フセイン(Saddam Hussein)イラク大統領(当時)殺害のため、イラク空爆を開始。その後24時間も経たないうちに、英国などの有志連合とともに地上進攻を始めた。

 イラク進攻は、欧米諸国の間に深い亀裂を生じさせることとなった。この進攻が正当化されるかどうかは依然として議論の分かれるところだが、戦死者は増え続けている。

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■インド洋大津波

 2004年12月26日、インドネシア沖で発生した巨大地震により、インド洋(Indian Ocean)周辺で最大30メートルの大津波が発生し、約22万人が犠牲となった。数十億ドルの人道支援が被災地に送られたが、過去100年で最悪の自然災害とされる大津波でマングローブやサンゴ礁、森林、沿岸湿地、植生などに甚大な被害を受けた地域社会の傷はまだ癒えておらず、これを乗り越えるには1世代以上かかるとも言われている。

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■四川大地震

 2008年5月12日、中国・四川(Sichuan)省をマグニチュード(M)7.9の大地震が襲った。中国地震局(China Earthquake AdministrationCEA)の研究チームは、この地震を4000年に1度の大災害だったとしている。この地震による建物の崩壊や地滑り、洪水などで8万8000人が死亡し、数百万が家を失った。

 一方で、学校や病院、工場などの崩壊が目立ったことにより、数十万人が犠牲となった唐山(Tangshan)地震を機に定められた建築基準が厳守されているのかという疑問の声が高まった。

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■地球温暖化

 国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)は、過去60年間の気温上昇の主な原因を、化石燃料の燃焼や森林伐採などの人間の活動によって排出される温室効果ガスの増加だと結論付けた。科学者らは、温暖化によって地球は洪水や干ばつ、暴風雨などの自然災害に直面していると警告している。また、南極や北極では氷床の融解も進んでいる。

 国際社会にはようやく地球温暖化の深刻さの認識が広がったが、今月デンマーク・コペンハーゲン(Copenhagen)で開催された国連気候変動枠組み条約(UN Framework Convention on Climate ChangeUNFCCC)第15回締約国会議(COP15)では、先進国と新興国との溝は埋まらず、あいまいな合意しか成立しなかった。2010年12月にメキシコで開催される次回会合までに国際的な合意の成立が待たれている。

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■金融危機

 米国が度重なる警鐘を無視し続け、国際金融を食い物にしてきた結果、「サブプライム」ローンに端を発する経済危機が発生。2008年9月15日には米経済の象徴ともいえる米証券大手リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)が経営破たんするという結果になった。株価は急落し、国際金融市場も冷え込んだ。特に高リスクの米住宅ローン関連証券を抱えた金融機関は軒並み深い傷を負った。

 米国発の金融危機は、急速にグローバル化の進んだ金融・経済システムにより各国に飛び火し、世界的な景気後退を引き起こした。緊急の金融サミットが招集され、大規模な金融システム崩壊はなんとか免れた。主要国は大型の景気刺激策を相次いで実行に移したが、貧困や失業に苦しむ人は増え続けた。そうした中、金融機関幹部の巨額ボーナスに大きな批判が集まった。

 21世紀の最初の10年が終わりに近づくにつれ、先進国は緩やかな成長路線に戻りつつある中、ブラジルや中国などの新興国の成長は著しく、国際経済の新たな時代の到来を感じさせている。

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■オバマ米大統領

 21世紀が始まった時、バラク・オバマ(Barack Obama)氏は、連邦上院議員を目指すイリノイ(Illinois)州上院議員に過ぎなかった。その後、2008年11月4日に大統領選で勝利し、米国史上初の黒人大統領になった。

 オバマ氏は2004年の民主党大会で広く世に知られるようになった。この大会でオバマ氏は、米国人の団結と長年にわたる政治的分断の打開を見事な弁舌で訴え、人びとを熱狂させた。

 アフガニスタン問題や経済問題、医療保険制度改革などの難問が山積し、支持率にも影響しているものの、オバマ氏とミシェル(Michelle Obama)夫人の人気は高く、「Yes We Can」のメッセージは依然として世界各国でこだましている。オバマ氏は2009年のノーベル平和賞も受賞した。

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■前ローマ法王、ヨハネ・パウロ2世

 27年というバチカン史上2番目の在位期間を誇った前ローマ法王のヨハネ・パウロ2世(John Paul II)は2005年に死去した。ポーランド出身のヨハネ・パウロ2世は、さまざまなバチカンの慣習を破ってきた。16世紀以降初の非イタリア人法王であるとともに、欧州の共産主義の没落において重要な役割を担ったことでも知られる。マスメディアの多用や外遊の多さでも有名だった。避妊問題や中絶、離婚などの社会問題では一貫して保守的な姿勢を保ったものの、若者などの人気は高かった。法王として史上最も外遊を行ったが、最後の5年間はパーキンソン病によって体力の衰えが目立っていた。(c)AFP