【9月8日 AFP】南米イースター島(Easter Island)のモアイ像には、赤い石の帽子をかぶったものがある。これらの帽子の謎を英国の考古学者らが解明し、調査結果を7日、発表した。

 モアイ像に「帽子」がかぶせられたのは約1200~1300年ごろとみられる。「帽子」は赤い軽石に似た火山岩「スコリア」から作られたもので、1個の重さは数トンもある。マンチェスター大学(University of Manchester)とロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London)の調査チームは、当時の人びとが、どのように石の帽子を運搬したのか、その手段を検証した。

 調査チームは、スコリアの石粉が踏み固められて出来た「道」を発見。これが謎を解くカギだとし、火山のクレーター内部と外輪にあった石切場で製作された帽子は、この道を手や丸太のコロで転がしながら、海岸沿いのモアイ像へ運搬されたと結論づけた。もう1つ存在した石切場は、帽子の生産によりすべて切り出されて消滅したと考えられるという。

 これまでに、調査チームは、石の祭壇跡や運搬路から70個以上の帽子を発見している。路肩の帽子は、運搬中に放置されたと見られる。このほかにも、運搬中に壊れたり、祭壇と一体化した帽子もあると考えられている。

 マンチェスター大のコリン・リチャーズ(Colin Richards)博士は、「プナパウ(Puna Pau)と呼ばれる石切場では、元来、モアイ像を製作していたが、後に帽子の生産に切り替えたのだろう」と話す。こうした切り替えは、島のモアイ像の巨大化に関連しているという。

 しかし、巨大なモアイ像の頭頂に、どうやって帽子を載せたかは、まだ謎のままだ。(c)AFP