【12月5日 AFP】先進国の子どもの約10人に1人が児童虐待の被害者だと考えられるという報告が3日発表され、調査を行った英米の大学の共同研究チームは、一般に考えられている以上に児童虐待はまん延していると警鐘を鳴らした。

 ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(University College London)のルース・ギルバート(Ruth Gilbert)教授によると、これまでに各種研究機関が行ってきた子どもと親への個別聞き取り調査の結果を総合すると、公式に記録されている報告数をはるかに上回り「10人に1人」が何らかの虐待を経験したことがあると推定されるという。

 最新号で児童虐待問題を特集した英医学専門誌「ランセット(Lancet)」の編集者リチャード・ホートン(Richard Horton)氏は「児童虐待は人々の認識をはるかに超えて深刻な公衆衛生問題になっている」と語った。

 英国では最近、生後17か月の幼児が保健福祉士の定期的な保護監視下に置かれていたにもかかわらず、激しい虐待によって死亡する事件が発生し、児童虐待に大きな関心が集まっている。被害児の名前の頭文字をとったこの「ベイビーP」の事件は、英国民の怒りを呼び、子どもの安全に関する法律を強化すべきだとの声が高まっている。(c)AFP/Prashant Rao