【6月8日 AFP】大学合格を目指して日々受験勉強に励むDuan Mengdiくんは、まだ18歳にもならないというのに、勉強疲れからすっかりやせ細ってしまった。7日から2日間の大学入学統一試験が始まる中国では、、1000万人近くの受験者がMengdiさん同様に、身をすり減らす思いをしているという。

■大学入試は一生を左右する一大事

 「高考(gaokao)」と呼ばれる大学入学統一試験は、中国語では生涯を左右する重大な「試練」。教養あるエリート生活を送るか、一生を凡庸な市民で終えるのかが、この試験結果で決まるとされている。

 1966年から1976年の文化革命により10年間中断されていた「高考」だが、復活してから今年で30周年を迎える。毎年夏に実施されるこの試験は、一方で子供たちの大きなプレッシャーとなっているとして、批判の声が高まりつつある。

 国営新華通信社(Xinhua News Agency)が報じた最近の政府の世論調査によると、回答者の95%が「現在の大学入試システムのままでよい」と答える一方、93%が「システムを変えるべきだ」としている。

 急速な経済成長を遂げる中国では、大学進学志望者が急増しており、今年の受験生は全国で950万人に上る。だが進学できるのは、そのうちわずか570万人。230人に1人という狭き門だ。

 受験戦争が過熱する中、受験生らは多大なプレッシャーと戦わねばならない。例えば、受験希望者は一年中、受験のための補習授業を受けなければならない。

 Mengdiさんは今学期だけで、体重が5キロも減ったという。「もうくたくたです。眠れない夜もありました。でも努力する価値はあると思います。自分の運命を変えられるのかもしれませんから」と、試験を終えたMengdiさんは語った。

■カンニング行為なども年々増加
 
 受験生やその親たちが、より良い環境のもとで試験を受けたいと願うのは当然のこと。観光地として知られる安徽(Anhui)省では、受験生の親たちが地元空港当局を説得して、入試期間中は受験生の気が散らないよう、飛行機の航路を変更させたという。

 大学入試の過剰なプレッシャーから、カンニングを行う受験生も増えている。中には、ビデオ装置やワイヤレス機器などの最先端のハイテク技術を利用して不正行為に及ぶ受験生もいるという。

 2006年、全国15か所以上の大学入試会場で発覚した受験生によるカンニング行為は、3000件にのぼる。これは前年から1300人も多い数字だという。(c)AFP/Dan Martin