【2月29日 AFP】金融危機と、心臓発作などの心疾患の増加には因果関係があると指摘する研究結果を、英ケンブリッジ大学(Cambridge University)の社会学者が26日に発表した。

 ケンブリッジ大学のDavid Stuckler氏率いる研究チームは、1960年から2002年までの世界保健機関(WHO)による死亡率と、世界銀行(World Bank)がまとめた金融危機のデータを比較した。その結果、大規模な金融危機の時期に、短期的な心疾患の増加と死亡率の上昇がみられることを確認。

 金融危機によって生じるストレスは、地震や戦争、テロ攻撃などと同様、心拍数や血圧を上昇させ、心疾患リスクを高めるとしている。特に、高血圧の傾向がある高齢者にとって、金融危機は貯蓄した生活資金が脅かされるため、より影響を受けやすいという。
 
 英米などの高所得国では、心臓発作の発生率が6.4%高まるという。昨年秋の英中堅銀行ノーザン・ロック(Northern Rock)のような取り付け騒ぎが起これば、英国では1280人から5130人が死亡すると推測される。金融危機の影響は発展途上国でも大きく、インドでは心臓発作の数が26%増加するとみられている。


 David Stuckler氏は、金融危機によって生じるヒステリーやパニックの拡大を防ぐことは、金融制度に対する信頼を保つだけではなく、多くの心疾患死を防ぐためにも重要だと話している。(c)AFP