【7月29日 AFP】バロック期のイタリア人画家カラヴァッジオ(Caravaggio)の未発表作品の可能性があるとされた絵画「聖ロレンツォの殉教(The Martyrdom of St Lawrence)」について調べていた専門家らが27日、ローマ(Rome)で記者会見を開き、カラヴァッジオの作品ではなかったと発表した。

 フィレンツェ大学(University of Florence)のミーナ・グレゴーリ(Mina Gregori)名誉教授は「カラヴァッジオのものではないが、大変興味深い作品だ。明暗のある光の描き方から判断してカラヴァッジオ派の作品であることは確実だ」と述べた。

 バチカンの日刊紙オッセルバトーレ・ロマーノ(Osservatore Romano)は17日、この絵画がカラヴァッジョの作品である可能性があると報じていた。同紙はその後この報道を取り消したが、今年がカラヴァッジオの没後400周年にあたることもあり、明暗を表現する「キアロスクーロ(chiaro-scuro)」という技法を用いたこの作品は美術界の大きな話題になっていた。

 バチカン美術館(Vatican Museums)のアントニオ・パオルッチ(Antonio Paolucci)館長は26日、「カラヴァッジオの新たな作品?まさか」と題した記事でこの報道に疑問を投げかけていた。

 グレゴーリ名誉教授は、「カラヴァッジオの作品はもっとエレガントだ。例えば、(手の)しぐさはカラヴァッジオであればこれとは違う描き方をしていただろう」と述べた一方、カラヴァッジオ派の絵画はとても貴重だと指摘し、未発表作品を見つけた時には常にこのことを考慮に入れるべきだと述べた。

 さらに「問題はこの絵画がどこからやってきたのかだ。ローマ(Rome)は除外できるだろう。ナポリ(Naples)か、マルタ(Malta)島、あるいはシチリア(Sicily)島から来たのかもしれない」と話した。

 同名誉教授によると、「聖ロレンツォの殉教」はカラヴァッジオの没後15年以内に描かれた可能性があるという。会見では「聖ロレンツォの殉教」も公開された。(c)AFP

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