【10月22日 AFP】ベストセラーとなった著書『死都ゴモラ(Gomorra)』でイタリアマフィア「カモーラ(Camorra)」の実態を描いたことから、命を脅かされている作家のロベルト・サヴィアーノ(Roberto Saviano)氏を救おうと、世界の著名人が支援に乗り出した。伊紙レプブリカ(Repubblica)が21日、報じた。

 20日、ノーベル賞受賞者6人が「イタリア政府はサヴィアーノ氏を保護する義務がある」と訴え、サヴィアーノ氏の支援運動を社会に呼び掛けた。これ受けて世界の著名な作家など約10万人が相次いで運動に参加している。

 サヴィアーノ氏は2年前から、マフィアからの脅迫を受け警察の保護下で暮らしている。前週、カモーラ一族がクリスマスまでに同氏暗殺する計画を立てていることを知り、イタリアを出国すると語っていた。

『死都ゴモラ』は世界42か国語に翻訳され、同著を映画化した『Gomorrah』が今年のカンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で最高賞パルム・ドール(Palme d'Or)に次ぐグランプリを獲得した。

 著書『悪魔の詩(The Satanic Verses)』でイランの故ホメイニ師(Ruhollah Khomeini)に死刑を宣告され、潜伏生活を送ってきた英作家サルマン・ラシュディ(Salman Rushdie)氏は前週、サヴィアーノ氏は自分よりも危険な状態にあると語った。

 イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)首相は前週、カモーラ一族をイタリア南部から追放するため、「何者にも屈せず、容赦なく闘う」と公言。ジョルナレ(Giornale)紙に対し、ロベルト・マローニ(Roberto Maroni)内相と協力し、すぐに対策を講じると語っている。

サヴィアーノ氏の支援運動に参加している主な著名人は以下の通り。

・ミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)氏 元旧ソ連大統領 
・デズモンド・ツツ(Desmond Tutu)氏 南アフリカ聖公会大主教 
・オルハン・パムク(Orhan Pamuk)氏 トルコ人作家 
・ギュンター・グラス(Guenter Grass)氏 ドイツ人作家 
・ダリオ・フォー(Dario Fo)氏 イタリア人劇作家 
・マーティン・エイミス(Martin Amis)氏 英国人作家
・イアン・マキューアン(Ian McEwan)氏 英国人作家
・ジョナサン・フランゼン(Jonathan Franzen)氏 米国人作家
・ジョナサン・サフラン・フォア(Jonathan Safran Foer)氏 米国人作家
・ジョゼ・サラマーゴ(Jose Saramago)氏 ポルトガル人作家
・ハビエル・マリアス(Javier Marias)氏 スペイン人作家

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