【3月9日 AFP】(3月10日 一部更新)土星の衛星で2番目に大きい「レア(Rhea)」には輪が存在しているらしいという研究結果が、7日発行の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。事実と確認されれば、初めて衛星の輪が発見されたことになる。

 米航空宇宙局(NASA)によると、1997年に打ち上げられた土星探査機カッシーニ(Cassini)の観測結果から、レアの周囲には帯状の数多くの小さな物体と、少なくとも1つの輪が存在しているらしいことが確認できたという。

 研究の主著者である英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College LondonUCL)マラード宇宙科学研究所(Mullard Space Science Laboratory)のジェレイント・ジョーンズ(Geraint Jones)氏は「これまで輪があることが確認されていたのは惑星だけだったが、衛星レアにも土星のように輪がある可能性がある」としている。

 今回の研究結果は、カッシーニが2005年、レアを取り巻く環境を観察するために最接近した際の観測データに基づいたもの。

 レアの直径は約1502キロで、それを取り巻く小さな物体は数千キロにわたって広がっているという。輪を構成しているとみられる物体は、小石から玉石程度の大きさだという。

「レアの両側にほとんど同じ兆候が見られることが決め手になった。その他多数の可能性を排除した結果、輪であるとの見方が強まっている。衛星に輪があるとは誰も期待していなかった」とジョーンズ氏は語る。レアが輪を持つ可能性の有無を確認するため多くのシミュレーションが行われ、その結果、輪が存在している可能性が示唆されているという。

 太陽系の4つの大きな惑星、木星、海王星、土星、天王星には輪があるが、土星のものが最も壮大だとされる。ジョーンズ氏によると、地球も創成期には輪があった。

 マックスプランク太陽系研究所(Max Planck Institute for Solar System Research)でカッシーニの調査に携わる科学者、Norbert Krupp氏は「星の周りに惑星を、小惑星の周りに衛星を発見したのと同様に、こうした調査結果は衛星の周りの輪をめぐる新たな分野を開拓することになるだろう」と指摘する。(c)AFP