【6月28日 AFP】まるで一部の人間の男性のようにアオガラのオスも、つがいのメスに美しさが失われていくと、外をうろつきがちになり子どもの面倒を見なくなる――このような研究結果が25日、英出版社バイオメド・セントラル(BioMed Central)のオンライン学術誌「Frontiers in Zoology」に掲載された。
 
 アオガラのメスは、頭部が明るい青色の羽毛で覆われている。オーストリアのウィーン(Vienna)にあるコンラート・ローレンツ動物行動学研究所(Konrad Lorenz Institute for Ethology)の研究チームは、この羽毛の色を人為的にくすませると、つがいのオスは単独で過ごす時間が増え、ひなのえさを探しに飛び回る機会が減ることに気付いた。

 論文共同執筆者のマテオ・グリジオ(Matteo Griggio)氏によると、「巣の付近にはいるが中には入らなくなる」という。

■オスの気を引くには身だしなみが重要
 
 アオガラは通常、生涯に数羽のパートナーを持ち、雄雌とも頭部に紫外線を反射する羽毛を備えている。

 この羽毛の効果を調べるため、研究チームは卵を持ったメスのアオガラを捕獲し、ヒナがかえった後で、紫外線を遮断するオイルをメスの頭部に塗る実験を行った。オスがメスを避ける要因がオイルの臭いでないことを確かめるため、対照群のメスグループにも紫外線遮断効果のない同じオイルを塗った。

 その結果、紫外線反射が減ったメスとつがいのオスは、ヒナの餌を探しに飛び回る回数が減り、オスが巣に餌を運ぶ行動にメスの頭部の紫外線反射の有無が大きく影響していることが分かったという。

 野生のアオガラは、衛生状態に無関心でいるとほこりや有害物質、寄生虫などが羽毛に付着し美しい青色の色彩が失われてしまう。このため、オスの関心をつなぎとめておく魅力を保つためには、メスも頻繁に毛繕いをする必要があると、論文は指摘している。

 オスがメスの気を引こうと示威的な行動をすることはよく知られているが、メスの魅力に対するオスの反応を観測した研究は珍しい。(c)AFP