【11月21日 AFP】環境保護を掲げて2004年に立ち上げられた、パーム油の持続可能な生産を目指すプロジェクトが、需要増に伴うプランテーション拡大に対応できていないと環境団体が警鐘を鳴らしている。

 食用ともなるパーム(ヤシ)油は、せっけんや菓子、ピーナツバターなど幅広い製品に使用されているが、プランテーション栽培が熱帯雨林に対する最大の脅威の1つとなっている。

「持続可能なパーム油に関する円卓会議(Roundtable on Sustainable Palm OilRSPO)」は2004年、パーム油の生産企業や製品製造企業、NGOなどが集まって立ち上げた。数年間の活動で幾らかの進展はあったものの、パーム油を使用する主要企業の「持続可能なパーム油(CSPO)」の購入・流通努力は不十分だという。

 環境に優しい製品を生産する動機付けも不足している。パーム油の国際供給網が複数、混在しているため、CSPOを他のパーム油製品と区別するのが難しいという問題点もある。

 2010年に生産されたCSPOは、パーム油の世界供給量の10%に相当する520万トンだったが、このうち実際に購入されたのは56%に過ぎなかった。

 パーム油は世界の植物油市場の35%を占め、その汎用性や油収量の高さ、生産地にとっての経済的価値の大きさから、40年後には需要が倍増すると見込まれている。だが、マレーシアやインドネシアといった主要産地では、熱帯雨林を切り開いて広大なアブラヤシ・プランテーション開発が進められており、現状のままなら熱帯雨林が危機的な状況に陥ると環境活動家らは危惧している。

 この問題は、RSPOが22日~24日にマレーシアで開催する総会でも議題に上がるとみられる。(c)AFP/Romen Bose

【参考】「持続可能なパーム油に関する円卓会議(RSPO)」公式サイト(英語)