【9月13日 AFP】廃食用油を燃料とする車両で世界一周に挑戦していた英国人のアンディ・パグ(Andy Pag)さん(36)が9日、英南東端のドーバー(Dover)に到着し、世界一周を果たした。

 パグさんは、廃車場から回収した中古のミニバスを再生素材を用いて「走る家」に改造。使い古されたディーゼルエンジンを廃食用油用エンジンに取り換え、ベッドの下に1200リットルの燃料タンクを取り付け、屋根には500ワットのソーラーパネルも設置した。2009年9月に英国を出発し、25か国、総距離2万9000キロ以上を、環境に優しい方法で走りきった。

 インドでは、テロリストの疑いをかけられて刑務所に入れられる苦難を味わう一方、出発から1年後に訪れたインドネシアでは、米国人フリーランスジャーナリストのクリスティナ・アモン(Christina Ammon)さんと恋に落ち、アモンさんは、その後ずっとパグさんと共に旅をした。パキスタンではしばしば武装勢力が車列を襲う危険な道を走行したりもした。

 世界一周を果たしたパグさんは、「本当にリサイクルという方法で世界を回れることが可能なのか、実験的な試みだった。化石燃料を一滴も使わずに世界一周できたことには、僕自身も驚いている」と語った。あちこちで親切にしてもらったことで、「人類がいかに偉大かという揺るぎない信念」が築かれたという。

 パグさんが今回の旅で最悪の経験だったと語るのは、インドで違法に衛星電話を使ったためにテロ組織との関連を疑われたことだ。それでも、パグさんはこう語る。「刑務所の中でも大勢の良い人たちに出会った。一緒にクリケットを楽しんだり、新聞を読んだりしたよ。もちろん刑務所暮らしはかなり不快なものだったけど、良い人たちに会えたことも事実だ」

 幸いパグさんは7日間で刑務所を出ることができたが、裁判のためインドに6か月も足止めされ、巨額の罰金を支払う羽目になったという。

 パグさんは2007年にも、チョコレートの製造過程で出る廃棄物から抽出したココアバターを燃料としたトラックで、英国からアフリカ西部マリのトンブクトゥ(Timbuktu)まで走行している。(c)AFP

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