【9月16日 AFP】この夏の猛暑の影響で、夏季終了時点での北極の海氷面積が観測史上3番目の小ささとなったとの研究報告が15日、相次いで発表された。地球温暖化によって2030年9月には北極海氷が消滅する恐れさえあるとしている。

 米コロラド大(University of Colorado)の雪氷データセンター(National Snow and Ice Data CenterNSIDC)が出した年次報告書によると、衛星写真を分析して算出した北極における春と夏の「溶解期」終了時点(前週)の海氷面積は、476万平方キロメートルだった。これは、観測史上3番目に小さい値だ。

 500万平方キロを下回ったのは観測史上3度目に過ぎないが、いずれも過去4年の間に起きているという。

 一方、米海洋大気局(National Oceanographic and Atmospheric AdministrationNOAA)も、北極海氷が8月に激減し、面積は平均600万平方キロだったと指摘する報告書を公表した。これは1979~2000年の平均値より22%小さく、8月の海氷面積としては統計を取り始めた1979年以後2番目に小さい数字。ちなみに8月の「最小」を記録したのは2007年という。

■「史上3番目」がもたらす危機感

 NSIDCのマーク・セリーズ(Mark Serreze)所長は、海氷面積が「史上最小ではなかった」という事実に温暖化懐疑派が勢いづくことを警戒している。

 セリーズ所長はAFPに対し、「『史上最小』ではなかったが、(海氷面積の縮小という現象が)回復に転じたことを示唆する材料は何も見つかっていない」と話した。実際、北極海氷は年間を通じて縮小傾向にあり、春と夏には溶解が加速する一方で秋と冬に形成される氷の量は減りつつあるという。(c)AFP/Karin Zeitvogel