【6月22日 AFP】22日に開幕した国際捕鯨委員会(International Whaling CommissionIWC)の年次総会を前に、国際環境団体グリーンピース(Greenpeace)は、公式には禁止されている鯨肉取引が捕鯨国間でひそかに増加傾向にあると指摘した。

 商業捕鯨モラトリアム採択後も、商業捕鯨を再開したノルウェー、アイスランド、調査捕鯨に限定して実施している日本は、ワシントン条約で禁止された鯨肉貿易の解禁を求めている。

 日本は2008年に、鯨肉の輸入を20年ぶりに再開した。内訳はアイスランドから数十トン、ノルウェーから10トン未満となっている。両国は今年さらに輸出量を増やす意向で、ノルウェー企業のLofothvalは、鯨肉47トン分の輸出許可を得ている。アイスランドも捕獲予定数のミンククジラ100頭、ナガスクジラ150頭の半分を輸出する計画だ。

 グリーンピース・ノルウェー支部のTruls Gulowsen氏は、「こうした傾向は、捕鯨産業の絶望的な状況を示している。ノルウェー国内で販売しきれないため、海外でなんとか売りさばこうとしているのだ。だが、日本人も年々鯨肉を食べなくなっており、自国で捕獲した分の鯨肉が余っている状況だ」と語った。

 一方、鯨肉取引業界はこうした指摘に反論する。Lofothvalの関係者は、1億2000万人以上の人口をもつ日本市場は、より高い価格での取引ができる有望な新市場だと語る。また、ノルウェーでは捨てられる鯨の脂身も日本では食用にされることを挙げ、「小型のミンククジラでも1.5トンの肉と500キロの脂身がとれ、1頭からの利益は増加している」と強調した。(c)AFP/Pierre-Henry Deshayes