【8月28日 AFP】米国の雪氷データセンター(National Snow and Ice Data CenterNSIDC)は27日、地球温暖化の影響で北極点の氷冠溶解速度が加速していると警告する報告書を発表した。

 報告書によると、26日時点の氷冠面積は、2005年9月21日観測時の532万平方キロを下回る526万平方キロで、夏季の氷冠溶融としては過去2番目に大規模なものとなった。同センターによると、北極の氷冠面積は、8月に入り206万平方キロも縮小したという。

 1979年から2000年の平均氷冠面積は723万平方キロだが、人工衛星からの観測でこれまでの最小を記録した2007年夏季の氷冠面積はこれを40%も下回る425万平方キロだった。しかし、今年度は溶解速度が非常に早く、再び気温が下がる秋季を数週間後に控え、2007年夏季の最小記録を更新する可能性もあるという。

 北極の氷冠面積は毎年6月中旬から減り始め、9月中旬ごろ年間で最少になり、その後、冬季から3月中旬にかけて再び面積が増えるというパターンがあるが、NSIDCの報告書は、「過去10年間に北極でみられた夏季に氷冠が極端に減少する傾向は今後も続く」と予測している。

 同センターの氷河学者、マーク・セリーズ(Mark Serreze)氏は6月のAFPとのインタビューで、9月までに北極点付近の氷が完全に溶けて消滅する可能性を指摘し、地球温暖化による氷床の溶解が新しい段階に入ったと警告していた。

 セリーズ氏によると、今年の夏季に北極点の氷が完全に溶解する確率は50%で、そうなればアラスカ(Alaska)州から北極点まで船で直行することも可能になるという。北極点付近は、先史時代には氷がない時代もあったものの有史時代に入ってからは常に氷に覆われてきた。しかし、近年になって、2050年から2100年の間に、北極点付近で夏季に氷が消滅するようになるとの予測が出始めている。

■氷冠消滅を積極的に期待する見方も

 一方で、カナダ北部北極圏の島々からは、季節風を利用し、新たに大西洋や太平洋を直接結ぶ北西航路が開けるとして、氷冠消滅を積極的にとらえる見方もある。これまで、カナダ北部からの航路はパナマ運河(Panama Canal)や南アメリカ大陸先端のホーン岬(Cape Horn)を越えるしかなかった。

 また、北極の海底資源をめぐりロシアとカナダが激しく競争しているが、北極海の氷が消滅すれば、海底に眠る原油や天然ガスなどの天然資源が発見される可能性もある。(c)AFP/Jean-Louis Santini