【6月10日 AFP】台湾の環境当局は9日、大規模な拡張を計画している製鉄会社の中龍鋼鉄(Dragon Steel)に対し、年間のCO2(二酸化炭素)排出料を支払うよう命じた。政府がCO2排出料の支払いを命じるのは、台湾史上初めて。
 
 行政院環境保護総署(EPA)によると、中龍鋼鉄の拡張計画を承認するかわりに、同社に対しCO2排出料の支払いを命じた。拡張計画で生じるCO2排出量約1000万トンを相殺すべく、世界のCO2排出権取引市場を通じ年間15億台湾ドル(約53億円)を支払うという内容だという。

 当局の決定を受け、地元の環境団体はさらなる環境政策の推進を訴えている。

 台湾環境保護組合(Taiwan Environmental Protection Union)のある幹部は、「政府の環境保護努力にとって、今回の決定は小さな一歩でしかない。政府は投資計画を1つ1つ検討するのではなく、現行のエネルギー政策そのものを見直すべきだ」と語り、「中龍鋼鉄の拡張計画を承認することは、温室効果ガスの排出量を削減するという新政府の公約に反している」と非難した。

 前月就任したばかりの馬英九(Ma Ying-jeou)総統は、温室効果ガスの排出量を2025年までに2000年レベルに、2050年までには2000年レベルの半分に削減したいと発言している。(c)AFP