【7月13日 AFP】イタリアで10日に発表された産業レポートによると、国内市場の縮小や、中小企業が海外市場へ輸出する際に直面する障壁などが原因で、同国のシューズメーカーが苦しい状況に置かれている。

 同レポートを発表したイタリア靴工業会(Assocalzaturifici)のクレート・サグリパンティ(Cleto Sagripanti)会長は「イタリアの市場だけではもう不十分だ」と語った。とはいえ、2010年に前年比15.2%増、2011年には3.4%増だった同国の靴の輸出高は、昨年は6.2%減に転じている。2008年の金融危機以降、国内の市場が縮小し続けているため、輸出は極めて重要になっているが、イタリアの輸出高全体も4.5%減と厳しい状況だ。

 サグリパンティ氏は「もはや中小企業は単独では生き残れず、支援を必要としている」と述べ、政府や議会にさらに多くの輸出援助を求めた。有名ブランドと異なり中小企業は、海外でより高成長を示している市場へ向けて販売網を再編するのが困難な状況にある。靴の輸出先は東へ移行しつつあり、輸出高は対ロシアで14.7%、対日本17.1%、対香港20.4%、対韓国25%、対中国40.7%とそれぞれ増加している。

 靴産業界のリーダーらはまた、輸出品の「メイド・イン」表記を義務付けるべく欧州連合(EU)に圧力を掛けるよう議員らに訴えた。「多くのアジア企業がフランスやイタリアのブランド品を模倣して、そうした模倣品の実際の価値の10倍もの値段を消費者からだまし取っている」と、自らもイタリア中部でシューズブランド「Manas」を家族経営しているサグリパンティ氏は語った。

 今回発表されたレポートでは、欧州で製造された製品が、EUの品質管理プログラムによって効率的に監視されている一方で、有害な素材が原因で健康被害が起きた例は全てアジアから輸入された靴に関するものだったとも警告している。(c)AFP