【6月12日 AFP】今年のノーベル賞(Nobel Prize)受賞者が手にする賞金は、過去の受賞者たちよりも少なくなりそうだ。賞を運営するノーベル財団(Nobel Foundation)が11日、昨今の経済危機を鑑み、賞金額を20%削減すると発表したのだ。

 ノーベル財団は同日の会議で2001年から前年まで1000万スウェーデンクローナ(約1億1000万円)だった賞金を減額し、今年から800万スウェーデンクローナ(約8900万円)にすることを決めたという。適用されるのは医学生理学賞、物理学賞、化学賞、文学賞、平和賞、経済学賞の各賞。

 同財団のラーシュ・ヘイケンステーン(Lars Heikensten)事務局長はAFPの取材に、賞金の減額は難しい決断だったと明かした。だが、世界経済の混乱を見ればノーベル財団が極めて厳しい時期を迎えることもあり得ると考えられ、「手遅れになる前に、いま手を打つことが賢明だ」と判断したという。

 ノーベル賞の賞金は、創設者アルフレド・ノーベル(Alfred Nobel)が残した遺産の運用益などで賄われている。1990年代の投資利回りは良かったが現在はそうではなく、ノーベル財団は支出を運用益の範囲に収めようとしているものの、この10年間はそれができていないという。

 スウェーデン通信(TT)によると、ノーベル賞各賞の賞金額は2000年に900万クローナ(約1億円)になった。1994年以降700万クローナ(約7800万円)を下回ったことはない。

 インフレ率を考慮すれば今年から適用される800万クローナは1901年にノーベル賞第1回目の受賞者に渡された15万782クローナと同等の価値になるとヘイケンステーン氏は指摘した。また賞金を減額したからといって賞自体の価値が下がるものではないと付け加え、「賞金の減額に関係なく、今秋、受賞者が発表されたとき受賞者たちは間違いなく心から喜ぶはずだ」と述べた。(c)AFP