【5月26日 AFP】中国中部が、50年来で最悪規模となる干ばつ被害に見舞われている。貯水池は枯れ、米の収穫は滞っているうえ、水不足で水力発電能力が低下し、深刻な電力不足も懸念されている。

 英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)によると、1月から4月までの降雨不足で、国内最長の主要河川である長江(揚子江、Yangtze River)の水位は過去50年間の平均水位の40%以下に下がっている。

 長江流域の水不足をうけ、洪水・干ばつ対策当局は今後2週間、世界最大級の三峡ダム(Three Gorges Dam)の放水量を10%から20%増やし、長江中流と下流の飲料水や農業用水不足を補う計画だ。

 三峡ダムがある湖北(Hubei)省当局によると、省内にある1300以上の貯水池で水位が低下し、かんがい用水の供給が困難になっているという。

 こうした現状から、さらなる農業への影響は避けられない見込みで、農作物価格がさらに高騰する恐れもある。

 国営電力企業、国家電網公司(State Grid)は今週、干ばつによる水不足が水力発電に影響し、上海(Shanghai)や重慶(Chongqing)を含む10省向けの電力供給が深刻な不足状態に陥っていることを明らかにした。このままでは、夏には30GWの電力が不足するという。これは2004年以来となる最も厳しい電力不足だ。

 長江の淡水には絶滅危惧種のヨウスコウイルカが生息しているが、その生息流域の水位は最大3メートル下がっているため、ヨウスコウイルカの個体減が懸念されている。(c)AFP/Dan Martin