【12月29日 AFP】オーストラリア北東部クイーンズランド(Queensland)州で、前週末に通過したサイクロンによる洪水で1000人が避難し、38地区が自然災害地域に指定される事態となっている。同州の広範囲で街が孤立し、軍が空から数百人を救出した。

 ジュリア・ギラード(Julia Gillard)首相は29日、「前代未聞の洪水」によって、地域によっては数十年ぶりの大洪水となっっており、観測史上最も高い水位を記録した地域もあると述べ、事態がさらに悪化する恐れもあると警告した。首相は国民に義援金の寄付を呼び掛けるとともに、政府も100万豪ドル(約8300万円)を拠出すると約束した。

 ブリスベーン(Brisbane)の北にある沿岸の街バンダバーグ(Bundaberg)やエメラルド(Emerald)では数百人が自宅から避難している。水浸しになったテオドール(Theodore)では軍が戦闘ヘリコプター、ブラックホーク(Black Hawk)で住民全員を救出し、今は無人状態になっている。水処理施設が損壊したドルビー(Dalby)では今後2日以内に飲料水が底をつく見込みで、地元自治体は給水車による飲料水の提供を検討している。

 ヘリコプターで上空を視察したボーガン・ジョンソン(Vaughan Johnson)州議員は「一帯はまるで内海のようになっており、畑や農地が水没している。被害額は数十億ドル(数千億円)に上るだろう」と語った。

 大みそかから元旦にかけての今週末に洪水がピークを迎えると予測される地域もあり、交通網の寸断や住民の強制避難が拡大する恐れもある。(c)AFP/Amy Coopes